第3章 黒碁石編


黒木碁石店の
碁石をめぐる物語
碁石をめぐる物語

第3章
黒碁石編
至高の“黒”碁石 ~三重県熊野市産 那智黒石~
(1)産地と寄り添う碁石づくり
黒碁石の原料である「那智黒石(なちぐろいし)」。その産地である三重県熊野市神上(こうのうえ)地区は熊野市の市街地から車で20分ほど登った標高200~300mの奥深い山並の中にあり、人口200人ほどの集落で採石から加工までを行っていました。那智黒石は、きめが細かく磨けば磨くほど光沢を増す美しい漆黒の黒石で、厚みや硬さや加工のしやすさは他に比類がなく、黒碁石の原料として最高の条件を兼ね備えています。日本全国には硯(すずり)用として有名な黒石の産地がいくつもありますが、それらと比較しても品質や風格ともに勝るとも劣らない那智黒石は、黒碁石の原料のみならず硯、試金石、那智黒石の粉末成型品として数多く製品化されています。


